ミル・スケール・ケトルの特徴
豆を変える前に、まずは環境を整える
お店で飲むような美味しいコーヒーを家でも淹れたい!
そう思った時、多くの人はまず高級なコーヒー豆を買おうとします。
もちろんそれも間違いではないんですが、実はもっと確実に味をレベルアップさせる方法があるんです。
結論から言うと、それはミル・スケール・ケトルの3つに投資すること。
僕たちIT屋の言葉で例えるなら、どんなに良いソースコード(豆)があっても、実行環境(道具)が不安定だとバグ(雑味)が出る、みたいなものです。
この3つの道具は、コーヒー抽出における不確定要素を排除して、誰でもプロに近い味を再現できるようにするための必須アイテム。
最初は「えっ、測りで重さを測るの?」「理科の実験?」なんて引かれるかもしれませんが、一度この精度の高さを知ってしまうと、もう目分量には戻れません。
今日は、なぜこの3つが三種の神器と呼ばれるのか、それぞれの重要な役割と特徴について、僕の実感を交えて解説します。
感覚に頼らない。再現性こそが美味しさのカギ
僕がこれらの道具をそろえてよかったと心底思う理由は、再現性が手に入ったからです。
昔は適当なスプーンで粉を入れ、沸騰したヤカンでドボドボ注いでいたんですが、それだと昨日は美味しかったのに、今日は酸っぱいというギャンブルみたいな毎日になっちゃうんですよね。
コーヒーは化学反応なので、投入する粉の量、お湯の温度、注ぐスピード、これらが変われば出力される味も当然変わります。
ミルで粒をそろえ、スケールで比率を守り、ケトルで注ぎをコントロールする。
この変数を固定することで初めて、今日は豆の個性を楽しむために、少し挽き目を粗くしようかなといった意図的なアレンジが可能になるんです。
それぞれの役割を知れば、道具選びは迷わない
では、具体的にそれぞれの道具がどんな仕事をしているのか、特徴を見ていきましょう。
① ミル:味の解像度を決める
三つの中で一番お金をかけるべきなのが、間違いなくミルです。
ミルの役割は単に豆を粉砕することではなく、粒の大きさを均一にそろえることにあります。
安いプロペラ式のミルだと、岩のような粗い粒と、砂のような細かい粉が混ざってしまいます。
これでお湯を注ぐと、細かい粉からは苦味が過剰に出て、大きい粒からは味が全然出ないという、チグハグな味の原因になります。
良いミル(臼式など)は、粒がピシッと均一に揃うので、豆の持っているポテンシャルを余すことなく、クリアに引き出してくれるんです。
味が透き通るという感覚は、良いミルでないと味わえません。
② スケール:抽出の設計図を描く
スケールの役割は、粉の量とお湯の量を正確に測り、黄金比を守ることです。
一般的に、コーヒー粉1に対してお湯15〜16の割合(1:15〜1:16)が美味しいと言われています。
例えば粉が15gなら、お湯は225g〜240g。
この比率を毎回守るだけで、味のブレは驚くほどなくなります。
さらに、コーヒー専用のスケールにはタイマー機能がついているものが多く、抽出時間も同時に管理できます。
30秒蒸らして、2分30秒で注ぎ切るといった時間管理も、味を安定させる重要なファクターです。
③ ケトル:お湯の勢いをコントロールする
普通のヤカンとコーヒー用ケトルの最大の違いは、注ぎ口の形状です。
コーヒー用はグースネックと呼ばれる、細く湾曲した注ぎ口になっているので、狙った場所に、狙った太さでお湯を落とせます。
ドバッと入ると粉が暴れて雑味が出ますが、ケトルを使えば静かに優しく注ぐことができ、成分を丁寧に溶かし出せるのが魅力。
最近は1℃単位で温度指定できる電気ケトルも増えていて、これがあれば温度計を差し込む手間からも解放されます。
僕が愛用するエントリーモデル3選
これからそろえる方へ、コスパと性能のバランスが良い間違いないアイテムを3つ紹介します。
① タイムモア(TIMEMORE)C2 / C3
コスパ最強の手挽きミルと言えばこれです。
金属製の刃を使っていて、切れ味が驚くほど良い。
数万円する電動ミルと比べても遜色ないくらい粒が揃いますし、何より挽いている時のサクサク感が気持ちいい。
1万円以下でこのクオリティは、数年前ならあり得なかったレベルです。
② ハリオ(HARIO)V60 ドリップスケール
シンプルですが、必要な機能が全て詰まったロングセラーです。
0.1g単位で測れる精度と、時間を測るタイマーが左右に並んで表示されるので、直感的に使いやすい。
これがあるだけで、なんとなくの抽出から卒業できます。
③ 山善(YAMAZEN)電気ケトル
温度調節機能がついているのに、驚くほどリーズナブルなのが山善のケトルです。
デザインもマットなブラックやホワイトでおしゃれですし、注ぎ口の形状も非常にコントロールしやすい。
とりあえずこれ買っとけばOKと言える、優秀な一台です。
いきなり全部じゃなくていい。まずはミルから
3つ全部そろえるのはちょっと出費が…という方は、まずはミルだけでも変えてみてください。
挽きたての、しかも粒が揃った豆で淹れるコーヒーは、それだけで別次元の美味しさになりますから。
その味に感動したら、次はスケール、最後にケトルと、少しずつ装備をアップデートしていくのもRPGみたいで楽しいですよ。
道具が増えるたびに、自分の淹れるコーヒーが美味しくなっていく。
その過程も含めて、コーヒーライフを楽しんでいただければと思います。


